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海外観劇日記

海外(主にイギリス)で観劇したミュージカル・芝居の感想覚え書き

ブログを引っ越します

思い立ちました。

海外観劇日記のつづき
https://musicalandplay.com/

にお引越ししします!

今までブログでは観劇の感想をメインで書いていましたが、Twitterとかでは流れていってしまう気に入ったことなどもぽちぽち記しておいて、後から振り返りやすいブログにしてみようかなと考えています。
現状、観劇感想はまだ新しいものをかけていませんが、もちろん今後も観劇記録と感想は書いていきます。
あいかわらず、ロンドンとか英語の演劇中心になると思います。

こちらは旧ブログとして置いておいて、つづきを新しい方で書いていこうかな。
もしかしたら徐々に古い記事を移行していくかもしれません。考え中です。

基本的にはブログとTwitterで観劇関連のお話をしていくことは変わらない感じです。
今後ともよろしくお願いいたします。
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2018年観劇記録

2018年ベスト


ロンドン

9/17 The Jungle (The Playhouse Theatre)
9/18 Allelujah! (The Bridge Theatre)
9/19 King Lear (The Duke of York's Theatre)
9/20 Copenhagen (Minerva Theatre, Chichester)
9/21 Othello (The Shakespeare's Globe)
9/22 SYLVIA (Old Vic)
9/22 The Inheritance Part 1 (Noel Coward Theatre)


舞台上映

2月 エンジェルス・イン・アメリカ 第一部 至福千年紀が近づく (National Theatre Live)
3月 エンジェルス・イン・アメリカ 第二部 ペレストロイカ (National Theatre Live)
5月 ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ (National Theatre Live)
10月 フォリーズ (National Theatre Live)
12月 ジュリアス・シーザー (National Theatre Live)
12月 ハムレット (National Theatre Live アンコール)


来日公演

8/11 オックスフォード大学演劇協会来日公演 十二夜(京都芸術劇場 春秋座)
10/11 マシュー・ボーンの「シンデレラ」 (Matthew Bourne's New Adventures / シアターオーブ)
10/12 The Townhall Affair, タウンホール事件 (京都芸術劇場 春秋座/The Wooster Group)
10/28 MINEFIELD―記憶の地雷原 (京都芸術劇場 春秋座/ロラ・アリアス)


国内観劇

2/7 Shakespeare's R&J (兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール/田中麻衣子演出)
3/3 FUN HOME (兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール/小川絵梨子演出)
4/25 Photograph 51(梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ/サラナ・ラパイン演出)*短評
4/27 4月文楽公演 彦山権現誓助剣 (国立文楽劇場)
5/16 1984 (兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール/小川絵梨子演出)
6/9 イキウメ『図書館的人生Vol.4 襲ってくるもの』 (ABCホール/前川知大作演出)
6/16 HANGMEN(ハングマン)(ロームシアター京都サウスホール/長塚圭史演出)
7/1 パラドックス定数 第40項「ブロウクン・コンソート」 (シアター風姿花伝/野木萌葱作演出)
9/28 イッセー尾形の妄ソー劇場 文豪カバー その2 2018 in 京都(京都府立文化芸術会館)
10/2 チルドレン (サンケイホールブリーゼ/栗山民也演出)
11/14 當る亥歳 吉例顔見世興行 夜の部(京都四條南座)


過去観劇記録:
2017年観劇記録
2016年観劇記録
2015年観劇記録
2014年観劇記録
2013年観劇記録

2018年ベスト

今年はまた鑑賞数がグッと少ないのだけど、
好きだったものを少しだけピックアップ。


観劇ベスト

1: The Inheritance Part 1 (Noel Coward Theatre)
素晴らしい。
文学の引用、イデオロギー、アイデンティティの表明、欲望と葛藤、全てが含まれながら一つの舞台上で演劇という形になっているのが見事。
まさに、今のための演劇で、同時代人でよかったという喜びに包まれる。
俳優も全員良い。

2: SYLVIA (Old Vic)
未完成ながら、パーツパーツがとても魅力的なサフラジェットミュージカル。
力強く女性のエンパワメントを歌ってくれるので、ダイレクトに心動かされる。

3: MINEFIELD―記憶の地雷原 (京都芸術劇場 春秋座/ロラ・アリアス)
めちゃくちゃ面白いがうまく言葉にできない。
見れてよかった。Kyoto Experimentありがとう

4: Copenhagen (Minerva Theatre, Chichester)
ただの会話なのに、すごく面白い。

5: Shakespeare's R&J (兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール)
今年一番見ていて楽しいシェイクスピアだった。



俳優

チャールズ・エドワーズ (Copenhagen)
好き。
Wasteのときから知ってたけど、本当にうまい。
セリフ劇に彼が出ていたら、本当に見に行って欲しい。一人芝居も可。


戯曲

The Inheritance Part 2
上記と同じ理由で。
舞台を見れなかったので続きは戯曲で読んだが、泣いた。
素晴らしい大作。


舞台上映ベスト

1: NTL フォリーズ
これも生の舞台で見れなかったのだけど、NTLが素晴らしかった。
音楽も演出もセットも、よく出来過ぎていて夢のようだった。
美しい夢を見ながら、現実ではなく夢であるという事実に泣く感じ。

2: NTL ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ

3: NTL ジュリアス・シーザー



来年はもっとたくさん観劇できますように…
とりあえず、SYLVIAを完成形で上演してください!飛んで見に行くから!!!

NTL ハムレット (2015)

ようやくベネディクト・カンバーバッチ主演ハムレットのNTLを鑑賞してきた。
バービカンで二度鑑賞したが、そのときは「おそらくこれはNTLを見越したデザインであり、そのために現場の観客にあまり響かない演目になっている」と感じた。(ブログ感想1
実際にスクリーンで見てどう思えるかを確かめるべく、三年以上ぶりのベネディクトハムレットを見てきた。



テレビドラマみたいだった

セットデザインは、NTLの方が確実に映える。
セットは大きく、実際の建造物のようにリアルに見えるので、要所要所で、様々な角度から画角を決め込み、素敵にトリミングした画を見せてくれる。
引きのシーンはほとんど無く、舞台空間が余っている印象はかなり少ない。
俳優たちの独白をじっとアップで観ている間が最も充足感があった。
すっかり忘れていた低予算ホラー映画風の諸々*1だが、最後のドン引きシーン*2も、私は映像の方が許容できた。
音楽の付け方もあいまって、テレビ用に制作されたハムレットを見ているようだった。

そうだとすれば、劇場で観客が見ていたのは、テレビドラマの撮影見学みたいなものに近いといえるだろう。
劇場で効果的なセットは、もっと要素をどこかに集中させ、しばしばウソ=フィクションを盛り込んだデザインなのではないか?
例えば、遠近法を用いたセットにして舞台奥が狭まる構造にすれば、舞台空間をよりコンパクトにできる上、劇場のどの席からでも舞台が見やすくなる。
休憩後にセット全体が黒い吹雪に覆われるが、これは舞台空間が引き締まる効果があったと思う。クローディアスに黒吹雪という演出はいらないので、むしろ最初から黒い物質に覆われた宮殿というデザインで良かったのではないか。

*1 以前のブログ記事参照

*2
ご存知ない方に説明すると、最後のドン引きシーンとは、ハムレットがレアティーズを刺す瞬間、全てがスローモーションになるという演出のことである。
それまで劇中ではハムレットの独白中その他のアンサンブルがスローモーションで動くという演出を多用してきた。
最後になって、なぜか「ハムレットがレアティーズを刺す」というシーンでのみ、全員がスローモーションで動き、音楽が鳴り、アンサンブルは踊るという演出が登場する。なぜだ。だれもが首を捻らざるを得ない珍演出オブザイヤー2015であった。
ちなみに、四つん這いで移動するアンサンブルは、映像になっても珍妙なままだった。



演技演出について

映像になって見やすくなった分、演出の細部に目がいくようになった。
そうすると、かなりチグハグな作りであるように思えた。
シーンの順番を組み替えること、ハムレットの兵隊さんごっこ、劇中劇にハムレットが参加すること、オフィーリアのびくびくとした態度、カメラと写真、書き殴っていたものは何だったのか、アンサンブルの振り付け、スローモーション、黒い吹雪…ひとつひとつを見てみると悪くないアイデアにも思えるが、一貫したコンセプトが汲み取りきれない。
残念ながら、取ってつけたような印象を持ってしまった。

また、私の記憶よりも俳優たちの演技が叫ぶシーンが多く、うるさく感じた。
対して、ハムレットと、特にクローディアスの独白シーンは落ち着いて見ていられる素晴らしい出来だったと思う。
オフィーリアのおかしくなってしまった後の演技も、やはり好きだ。

ハムレットという演目自体を見たのが久々だったのだが、こんなにムカムカするハムレットも久しぶりだ!と思うくらい、ムカつくハムレットだった。
アップにすると俳優の表情がよく見える分、ローゼンクランツの傷ついたような顔などを見ると可哀想で、ハムレットは非道だなと思ってしまう。
ローゼンクランツ、ギルデンスターン、ホレイシオなどが可愛いので、ベネディクトハムレットが嫌な奴に見えた。レアティーズ、やっぱり一発殴っていいよ!ハムレット君は発言がそこまでかしこく聞こえないために、顔自体が知的に見えるベネディクトには不利だったかもしれない。(わたしから好感を得るために不利)


字幕

字幕の担当を確認しそびれてしまったのだが、なぜか私には合わない字幕だった。
韻文だからだと思うが、耳から聞こえるものと目に入ってくる日本語が私の中で同時にうまく消化できず、ストレスが大きかった。
途中から疲れてしまい、ところどころ字幕を見ないようにして鑑賞した。


まとめ

舞台よりNTLの方が良いだろうという予想はその通り。
しかし、舞台自体の評価はさほど変わらず。

Operation Black Antler

Operation Black Antler
Blast Theory
24/June/2016


イマーシブシアターってどんな感じ?

イマーシブというキーワードを気にしていた2016年の春、Blast Theoryが良いタイミングで芝居をかけると聞き、イングランドのチャタムという街まで行って参加してきた。
Blast Theoryは長年観客参加型のコンテンツを生み出してきており、評判も高いイギリスのアーティストグループだ。
イマーシブ(immersive)とは、没入型の、というような意味の言葉だ。なんでもスクリーン越しで済んでしまうネット社会の反動か、近年エンターテインメント界で注目されている要素である。
なので、様々なイベントがイマーシブシアター、イマーシブコンテンツ、など「イマーシブ」と称され催されている近年だが、これはかなり大胆に大胆寄りのイマーシブ、今までの観劇経験の中で、最も強烈な体験だった。


かなりおっかなびっくりした感想

イベント参加者は、警察の捜査に協力する一般人という設定で、偽りの身分で地元のパブに潜入することになる。捜査対象は、過激派極右グループに発展するのではないかと疑われている人たちだ。
観客も芝居に参加するしかない設定で、これほど「私」の経験が唯一無二になることはなかなかない。
しかも当日はたまたまBrexitの投票翌日だったので、私も周りもまだまだ動揺しているような時期だった。


芝居は最初から説明もなく始まる。警察官や捜査対象者たちはもちろん俳優なのだが、そのようなことも最後まで明かされない。芝居に参加している間、周りの人達の誰が観客で誰が俳優なのかも怪しく思えた。
テレビドラマを見ているような非現実感と、いつもの私服で素顔の自分が晒されているという逃げ場のないリアルが同居していた。疑心暗鬼、どこに連れて行かれるかわからない相手と愛想よく会話をする違和感、携帯を見せろと言われた時の緊張、こちらの情報もどんどん引き出されていく不安。
対して、対象者から新しい情報を引き出せた時の高揚感、きっと過激派に違いないという確信。

警察官の長期にわたる潜入捜査とそれが警察官個人に及ぼす悪影響、また犯罪を犯していないにもかかわらず疑われ公権力に監視されている人たちがいること、これらは全て実際にイギリスで起きていることだ。
私は正直なところ、この劇を仕掛けた人たちの術中にバッチリはまっていったと思う。
この芝居に参加している間、私は「危険なやつ」をいくらでも逮捕してくれればいいと思った。そしてなんでもいいから判断を人に任せて、この緊張から解かれたかった。最後に対象者たちは本当に危険因子なのか、誰に監視をつけるべきかという報告をするのだが、他の参加者が「でも本当にこの人にそんな重荷を貸してもいいの?」と抵抗した際にも「なんでそんなこと気にするんだろう」と思ったくらいだ。終わってから振り返ると、たった数分でそんな判断を素人がして良い訳はなかったのに。

一番難しかったのは、排外的な極右思想を述べて会話相手と同調しないといけないことだった。自分の意見とあまりに相反するので、なんといっていいかわからない。だからこそ、ものすごく面白くもある。
特に私は「いやはや、どこからどう見ても、よそからイギリスに来たアジア人なんスけど?」というそこそこなハードルがあり、名誉白人気取りの論法ってどんなんだったっけ〜〜〜思い出せない〜〜〜という焦りが尋常ではなかった。見兼ねた相手の俳優さんが「日本人は国を良くしてくれるけど、中国みたいな他の外国人のせいで国がダメになるよね」というサポートをしてくれた。ありがとうさすがプロだね、私のせいで芝居が続かないところだったよ、恩に着るぜ、という顔で相槌をうった。

この芝居が終わった後、どうしても色々なことに思考を巡らさずにはいられなかった。
問題提起をしたい環境に、いきなりシアターゴーアーたちをポーンと放り込んで実地で体験させるという、一見荒削りなようで、よくできた知的な演劇だった。
隠れ家や潜入先の作り込みや、観客の操作をする指示のやり方もうまい。


つまりオススメなのだ

Blast Theoryは、このように、社会問題やトピカルな議論を背景にしたストーリーに観客を巻き込んでいく仕掛けが多い。いつ見ても同じ、という演劇ではない、「毎回違う」体験を観客にしてもらうことを重要視しており、色々な街で様々なメディアを使った観客参加型のイベントや芝居を行なっている。参加しないといけないということにとても緊張したけれど、滅多にない記憶に残る体験になった。
これを読んで興味を持った方には、機会があれば、思い切って飛び込んでみてほしいな、と思う。





芝居の流れメモ(ネタバレ)

会場に着くとスマホに指示が入る。まず、参加者は隠れ家に招き入れられ、一般市民が潜入捜査のために雇われたという設定で、捜査対象グループの資料を見せられる。この日初めて会った他の参加者と友人のふりをして、対象がいると思われる場所に少人数ずつ潜入することになる。この時の自分たちの関係性や個人情報も、偽りのものを事前に相談しておく。捜査対象から情報を引き出すために、思想を共有しているように見せかける演技をし、時事ネタなどから探りを入れる。
司令部から潜入先を抜け出すように指示された後、参加者たちはまた一堂に集められ、対象者たちの思想や計画の情報、今後警察は24時間監視をつけるべきか、誰をターゲットにして切り崩していくべきかをフィードバックしないといけない。その相手が本当に犯罪行為を犯すかも分からないまま、私たちの証言を元に市民が警察の監視のターゲットになっていく。
芝居が終わった後は、参加者とクリエイターが一緒にカフェで話し合う機会もあった。